俺様彼氏と空手彼女2





私は、芦野くんの様子を伺いながらそっと葵のそばへ駆け寄った。




だけど、そんなことはもうどうでもいいと言いたげに、肩を大げさにすくませて見せただけだった。




もう、自分の興味はお前ではなく森崎だと、目がそう言っていた。




「で、またやるのか?痛い目を見るだけだと思うけど」




「…ちっ!」




芦野くんのその言葉に、葵は忌々し気に舌打ちをした。





「なぁ、牧瀬?こいつは、周りの奴らに強いだとか最強だとか色々言われてるけど、実際は大したことないんだぜ?」




え…っ?





芦野くんのその言葉に、葵のぎりっという奥歯を噛み締める音が聞こえてきた。





「な、森崎。ついさっき、お前はこの俺にボコボコにされたよな?」




嘘…、そんな、まさか…。





嘘に決まってるだろ、バカ。




そんな言葉を期待して、葵の方へと目を向ける。




だけど、葵の姿を見たことによって、現実を突き付けられた。






葵の綺麗な顔には、いくつも傷があって。




唇の端には、血がにじんでいたのだ。