そう言って、くつくつと喉を鳴らして笑う芦野くんを、葵は更に鋭く睨み付けた。
「璃依から離れろ、今すぐだ!」
「そう慌てるなよ。しかし、もう少し遅く来いよな。もうちょっとだったのに」
「ふざけるな!!」
「ふざけてなんかないさ。」
「いいから、早く離れろ!」
「相変わらずお堅いなぁ」
なんだろう…。
今、相変わらずって言った。
見た感じ、幼なじみで仲良しだったっていうのは嘘だろう。
けど、芦野くんは葵を知ってるんだ。
もっと、違う関係なんだ、二人は。
「あんな扉、簡単なんだよ」
「もしかして、壊してきた?停学にならなきゃいいね」
くすくすと笑う芦野くん。
「…璃依、こっちに来い」
「…っ」
葵は芦野くんから目をそらさずに言った。
芦野くんも、今は私から距離を取り葵と睨み合っている。
だけど、口元には嘲笑が含まれており、余裕が伺えた。

