「じゃ、何。そのこと知っててダラダラ付き合ってるわけ?」
「あ、うん…。一年のときに聞いた」
その言葉を聞いて、芦屋くんは深くため息をつく。
ってか、ダラダラって。
さりげなく失礼なこと言ったよね、この人!
「…あーあ、まじかよ。これには予想外だった。“俺”の完璧な計画を、ここまで乱してくれるとはね」
え…?
なんか、口調が変わったような…。
それに、雰囲気も…。
「あの森崎が一人の女に溺れたっつーのも、案外マジだったってことかよ。こりゃ傑作だなぁ、おい。」
芦屋くんは、くっくっくと嘲笑した。
「あの…、芦屋、くん…?」
「だからさ、芦屋じゃなくて芦野っつってんじゃん。いい加減覚えてくんない?」
冷ややかな声とともに、優しさの欠片もない言葉が突き刺さる。
「とりあえず、俺の本性見られたからにはただじゃ帰さねぇから。」
すっ、と表情が消え失せ、どこまでも冷血な瞳を細める。
その瞬間、ゾクッと背筋が凍った。

