俺様彼氏と空手彼女2





「じゃ、何。そのこと知っててダラダラ付き合ってるわけ?」




「あ、うん…。一年のときに聞いた」





その言葉を聞いて、芦屋くんは深くため息をつく。




ってか、ダラダラって。





さりげなく失礼なこと言ったよね、この人!





「…あーあ、まじかよ。これには予想外だった。“俺”の完璧な計画を、ここまで乱してくれるとはね」





え…?





なんか、口調が変わったような…。




それに、雰囲気も…。





「あの森崎が一人の女に溺れたっつーのも、案外マジだったってことかよ。こりゃ傑作だなぁ、おい。」





芦屋くんは、くっくっくと嘲笑した。




「あの…、芦屋、くん…?」




「だからさ、芦屋じゃなくて芦野っつってんじゃん。いい加減覚えてくんない?」




冷ややかな声とともに、優しさの欠片もない言葉が突き刺さる。




「とりあえず、俺の本性見られたからにはただじゃ帰さねぇから。」




すっ、と表情が消え失せ、どこまでも冷血な瞳を細める。




その瞬間、ゾクッと背筋が凍った。