俺様彼氏と空手彼女2





「それで、話って?」





「あぁ、うん。大したことじゃないんだ」





そう言って、芦屋くんは気まずそうに目を伏せた。




一体どうしたというんだろう…。





芦屋くんに連れてこられた、人気のない屋上用の階段に私たちは腰掛けていた。




隙間から漏れる冷たい風が、私の頬をかすめていった。





「牧瀬さんが、あいつの彼女だってことはわかってる。」




慎重に紡ぎだされた言葉。




私は、何も言えずにその次の言葉を待った。





「だけど、僕は牧瀬さんが好きになってしまったんだ…。」





「…っ!?」





予想もしてなかった話に、私は大きく目を見開いた。




芦屋くんが、私を好き?





いやいや、ないでしょ。





何かの間違い?





そうに決まってるよ。





まさかこの人、私のでたらめな噂を知らない?





そう、でたらめってわけでもないけど…。






いや、でもまさか…。