「森崎を探してるんでしょ?」
「あ、うん…。」
「さっき先生が森崎を探してるみたいだったから、たぶん先生に捕まってるんじゃないかな」
「え、先生に?」
「なんか進路の話みたいだよ?」
そう言って、にこっと笑う芦屋くん。
そっか、じゃあ心配ないか…。
私、てっきり風邪が悪化したのかと思ってた。
よかった…。
ホッと胸を撫で下ろし、もう一度席に着く。
「でも、びっくりした。芦屋くん、なんか思わせ振りな言い方するから…。」
「ああ、ごめんね。牧瀬さんがあんまり森崎と仲が良いものだから、少しからかっちゃった」
「えっ。そ、そんなことないよ。」
かぁー、と一気に顔に血が集中する。
そんな時、突然芦屋くんは、はっとした顔をする。
「そうだ。牧瀬さん、少し話があるんだけど…。ちょっと来てもらっていいかな」
「あ、うん…」
顔の火照りを消そうと、頬をこすっていた私は、先に教室を出ていった芦屋くんを追い掛けて教室を出ていった。

