自身の食道に感心しつつ、突然の訪問者を見上げる。
やっぱり、芦屋くんは細い。
とても喧嘩しそうには見えない。
その上、こんなに優しいのに。
一体、葵はどうしちゃったんだろ。
「あれー芦野くん、森崎くんと一緒じゃなかったの?」
と、玲菜が尋ねると芦屋くんは至って普通に答えた。
「森崎?さぁ、僕は会ってないけど。森崎がどうかしたの?」
あれ…。てっきり、葵は芦屋くんに会いに行ったんだと思ってた。
ってか、私たち何故かそう確信してたよね。
先生に呼ばれたか、違うクラスに用事があったかもしれないのに…。
考えすぎだよね。
大体、芦屋くんに限って葵と喧嘩するはずなさそうだし。
ただ、葵の様子が変だったのは具合が悪かっただけだよね、きっと。
…あ!!もしかしたら保健室かも!
ぱっと浮かんだ考えに、私は無意識の内に立ち上がっていた。
「葵もしかしたら保健室かも!私、ちょっと保健室行ってくる!」

