ニヤッと口角をあげ、その後の言葉を続ける玲菜。
「それに芦野くん、あんなに細くて優しそうなのに森崎くんより強者なわけないっしょ」
「うーん…、まぁ、そうかもしんないけど…。って、なんでここで芦屋くん?」
「この状況からして、森崎くんは芦野くんに会いに行ったに違いないわ」
うんうん、と玲菜は自信満々に頷く。
だけど…。
「もし仮に芦屋くんと喧嘩するのだとして、別に葵だって、特別筋肉ムキムキってわけでもないよ?」
その瞬間、玲菜の笑顔が凍った。
葵は別に、華奢って程でもないけど、そこまでがっしりしてるわけじゃない。
背は高いけど、体格はスラッとしてるし。
そのくせ、力も体力もあるんだよね…。
だから、芦屋くんが意外とって可能性も捨てきれないわけで…。
でもそれはあくまで予想の話だし、二人が喧嘩する理由もないからこんなこと考えるのは無意味なんだけど。
「まぁ、大丈夫でしょ。森崎くんなら」
あははははっ、と玲菜は誤魔化すみたいに豪快に笑い飛ばした。

