俺様彼氏と空手彼女2





「葵…?」




「え?あ、何?」





「別にあの…、そういうんじゃないから」





「…わかってる。」





安心するはずのその言葉が、今はただ不安を煽る。




いつもと違う葵。




堂々としてて、自信に溢れてて、強くて。




そんな葵は、今ここにいない。




私は葵にかける言葉が見つからず、結局何も聞けなかった。














その日の昼休み。




葵はお昼を食べずに、私が声をかける間もなくどこかへ消えた。




一言も残さず、募った不安だけを置いて。






「森崎くん、どこ行ったのかね?」




「わかんない…」





「ほら、不安そうな顔してないでお弁当食べちゃいなよ。」




「うん…。」





玲菜に勧められ、しぶしぶ箸を取る。




今日は唐揚げなのに、食欲がない。




二個も入れてきたのに…。





「そんな心配しなくても、森崎くんなら平気でしょ」



「え?」





「あの森崎くんが誰かにボコボコにされるなんて、まず考えらんないし」