俺様彼氏と空手彼女2






「特に、言われてないと思うけど…。」





「…そうか。」





それっきり、葵は黙り込んでしまった。




どうしたんだろう…。





やっぱり、芦屋くんのこと思い出したのかな。





でも葵の顔は、過去の友達に懐かしんでいるようなものではなく、深く怒っているかのようだった。




「…っ、ごほっ、ごほごほ…」



「えっ、大丈夫!?」




突然葵が苦しそうに咳き込むものだから、驚いて近づこうとするのを葵に手で制された。




「大丈夫…だから。気にすんな」




荒い息の中優しい声音で言われ、出しかけた手をそっとひく。




それを見て、葵はマスク越しににこりと笑った。




「なぁ、璃依。あんまり芦野に近づかないでくれ。」



「え…。」




「頼む。」




葵は、握っていた手をさらに強く握り締めた。




そのとき、ふと気付く。