「そう言えば葵。」
「ん、今度はどうした?キスはさすがにうつるからダメだぞ」
「ちっ…、違う!!」
慌てて否定すると、悪戯っぽくニヤリと笑う葵。
く…っ、からかわれた…!
「それで?」
「だから…!芦屋くんって知らない?」
「芦屋ぁ?それ誰?」
途端に、怪訝そうな顔をする葵。
やっぱり忘れてるんだ。
「芦屋…、なんとか君だよ!10歳まで家が隣で、幼なじみだったんでしょ?」
「はぁ?俺にそんな奴…。」
そこまで言って、わずかに葵の動きが止まる。
何か思い出したように、驚きで目を見開いている。
「葵…?思い出したの?」
「…なぁ、そいつ。」
「え…?」
「そいつ、D組の芦野…か?」
「あっそうそう!芦野くん!昨日聞いたよ。幼なじみなんでしょ。」
「…そうか。後は?何か言われたか?」
静かに、葵は尋ねる。
なんだか様子がおかしかった。
いったい、どうしちゃったの…?

