その翌朝。
いつもどおり家を出ると玄関の前には。
「…葵!?」
「おはよう、璃依…ゴホッゴホ…」
そこにいたのは、辛そうな咳をする葵だった。
声もガラガラで、話すのもきつそうだ。
「こんなとこで何してるの!?風邪ひいてるのに!」
慌てて駆け寄ると、葵は目を細めて小さく笑った。
「お前が心配で、ぬくぬく家で…寝てられるかよ…」
そう言って、ポケットから手をそっと出して、ポンポンと私の頭に手を乗せた。
久しぶりのその感じに、寒さも忘れて顔が火照る。
「…ばか」
俯いて呟くと、葵はくつくつと喉で笑った。
「うつるから…、あんま近づくなよ…」
マスクで顔の半分以上が隠れてるけど、まだ熱は下がってないのかも。
ほんの少し、息が上がってる。
「うん…。本当に学校行くの?大丈夫?」
「この俺が、…風邪になんか負けるかよ。」
本当に大バカだよ、葵…。

