「あ、私の家ここだから。」
「そう。じゃあ、またね牧瀬さん」
いつの間にか私の家に着いていた。
というか、話に夢中になっていて気付かない内に足が自然と家に向いていたらしい。
スタスタと歩き去っていく芦野くんの後ろ姿をぼんやり眺め、私も早々に家へと入った。
明日、葵に芦屋くんのことちゃんと言わなきゃなぁ…。
明日は来るといいけど。
相当辛そうだったし。
本人は行くって言ってたけど、馨さんに見張られてるらしいし…。
これは最近知ったことなんだけど、意外にも葵はお兄さんの馨さんには逆らえないらしい。
空手も何もやってないくせに意外と力も喧嘩も強くて、そのくせ頭もいいから口じゃ勝てないんだって。
あの、優しそうでカッコいい見た目からは想像も出来ないけどね。
たぶん、葵が大人になったらあんな風になるんだろうな。
なんて。

