俺様彼氏と空手彼女2





「本当?ありがとう。牧瀬さんは優しいね」




「えっ!?全然だよ!」




否定の意味を込め、顔の前で両手をブンブン振る。





「でも、もっと早く葵に話かければ良かったのに…。」




「お前誰って言われるの嫌だったし、雰囲気が変わってたから何だか話かけにくくて。」




そう言って、芦野くんはその整った顔に苦笑いを浮かべた。




その姿が、ますます可哀想に見えて。




私は芦野くんに同情しきっていた。




「ねぇ芦野くん。昔の葵ってどんなだった?」




「ぼくが知ってるのは、10歳までの森崎だよ」




「10歳…。」




私は何となく、うんと小さい葵を想像してみる。




きっと、今と違って子供らしくて可愛いんだろうなぁ…、なんて。




そう言えば、葵の小さい頃の写真とかって見たことないかも。




今度、見せてもらおうかな。





…見せてくれるといいけど。




まぁ、たぶん見せてはくれないな。




馨さんに頼んでみようかな。




なんて考えていたうち、いつの間にか私の家の前にさしかかっていた。