俺様彼氏と空手彼女2





気のせい、なのかな…。





「でも、本当に牧瀬さんはすごいと思うよ」




「え、なんで?」




突然言われて、思わずきょとんとする私。




「だって、君のおかげなんでしょ。森崎があんなに変わったのは。」




「え…っ」




芦野くんはごく自然に言ったけど、なんだかその言葉にひっかかった。




まるで、昔の葵を知っているみたい。




確かに、昔の葵は今では想像も出来ないほどクールだった。




いつもむすっとしてて機嫌悪そうで。



最初の印象だって、最悪だった。



葵なんか、本当に大嫌いだった。




けど、実は葵には結構助けられていることに気付き、今では最初の印象なんて払拭されてる。





でも、葵がそんなだったのは一年の頃までの話。




ってことは、芦野くんはそれ以前の葵を知ってる…?




この人、謎が多すぎ。



あんまり自分のことは話さないし。



ってか私が聞かないだけなんだけど…。




思い切って聞いてみようか。



いつの間にやら警戒心はすっかり薄れ、わずかに彼に興味を抱き始めていた。