俺様彼氏と空手彼女2





「芦屋じゃなくて芦野だよ。覚えにくいなら、悠って呼んでくれてもかまわないけど」




「あ、ごめんね芦野くん。」



悠なんて呼んだら、葵が何をするかわかったもんじゃない。




「牧瀬さんってこっちなの?」



「そうだけど」




「へぇ、偶然。僕もこっち」




「そ、そうなんだー」




芦野くんは私のペースに合わせて一緒に歩きだす。




あぁ…。ホントにこの人なんなの?





思わずため息をつきたくなった。






…そうだ。



途中で道を変えればいいんだ。



こっちだから、とでも言って。





「あ、あの芦屋くん。私、こっちだから。」




「そうなの?偶然。僕もなんだ」




まさかの逆効果ーーーーっ!!




「それと牧瀬さん。僕は芦屋じゃなくて芦野ね。」




何度も間違えているって言うのに、相変わらず芦屋くんはニコニコしている。




やっぱなんか、嘘っぽい…。





「ねぇ牧瀬さん。森崎葵って、どんなやつなの?」




突然聞かれ、私は一瞬固まった。



なんでそんなに葵が…?