「へぇ。そうなんだ」
この人は、何が言いたいわけ?
「それで、森崎葵は?」
「葵なら休みだよ、風邪で。」
「風邪?へぇ、あの人も風邪ひくんだね」
一瞬きょとんとした芦野くんだけど、すぐに可笑しそうに笑いだした。
「森崎くんだって、あれでも人間よ。」
そう言って、玲菜もちょっと可笑しそうに笑う。
つか、あれでもってどういう意味よ、あれでもって。
若干ムッとして、玲菜に目で文句を言ってみる。
私の視線に気付くと悪戯っぽく笑って、手を合わせて謝っていた。
まったく…。
って、なんで葵の悪口言われたからって私が怒んなきゃいけないわけ!?
あああ…、馬鹿みたい私…。
「休みなら仕方ないね。じゃあ牧瀬さん、またね。相沢さんもね」
さっき一瞬見せた冷たい気配はすっかり影を潜め。
また爽やかに彼は去って行った。
「変な人だね…」
「そう?どこかミステリアスでいいじゃん!」
…ミステリアスか……?

