俺様彼氏と空手彼女2




「どこが!」



「別に、色々」




再び立ち上がる私を気にした風でもなく、玲菜は卵焼きを口へ運び、咀嚼(そしゃく)する。



「わ、私なんてっ…」




「あのね、言わしてもらうけど、あの森崎葵が選んだ女の子だよ?女なんか、何もしなくても死ぬほど寄って来るような男だよ?」



死ぬほどって…。



でも、否定出来ないのが悔しいかも…。



確かに、葵はかなりもてる。


街を歩けば、必ずスカウトの声がかかるし、逆ナンされているのを見たこともある。



私だって、二年近く一緒にいるけど、未だにドキドキする。



男の人なのに、全く痛んでない黒髪とか。


高い鼻、綺麗な目、長い手足。



どれを取っても完璧なあいつが、私の彼氏だなんて。


「…璃依、またネガティブ思考に走ってる?」



「う、走ってない」



「まったく。気の強い空手少女の璃依にここまで心配させるなんて」




やれやれ、と言わんばかりに苦笑する玲菜。




なんか、玲菜と話してホッとした。



さっきまでの、モヤモヤがどこかへ飛んでったみたい。



ありがとう、玲菜。