山荘の扉を開くと、あったかい空気が四人を迎えた。
「ようこそ。小僧谷温泉へ。お寒かったでしょ。どうぞ暖炉にあたってください。」
大柄の熊のような男がにっこり微笑んだ。
「わたしはこの山荘のオーナー。吉川と申します。さぁ、暖炉の前に・・・。」
リビングは中央に置かれた大きな暖炉を基調にコーディネートしてあった。西洋風のシックなアンティーク家具がその雰囲気を盛り上げていた。
「あ。でも、最初にこの施設を一通り案内したほうが良いですね。悪いけど、案内をおねがいします。自慢の温泉のほうも・・・。」
オーナーは近くにいたタケシタにいった。
「わかりましたオーナー。ですが、皆さんの夕食の準備をしないと・・・。」
タケシタは頭をクシャクシャとかいた。
「うん。かなり仕事はやってしまったからね。問題はないよ。お客さん。とりあえず施設だけを見回ってからお食事にしましょう。」
オーナーは三人にそういうと鼻歌を歌いながら厨房に戻っていった。
「では。とりあえず部屋を決めましょう。皆さんの部屋は二階の一番端とその横をとってあります。ベッドが二つしか入らないので一人だけの人ができてしまうのですが・・・。」
タケシタが階段の上を指差していった。
「それはヒカルが一人部屋よね・・・。」
ユミがニッと笑った。
「な。なんでよ?」
「それはもちろん・・・。」
ユミが小声になった。
「坂井クンとのプラーベーとタイムに私たちがいちゃ邪魔でしょ・・・。」
こっそり話し合う三人の少女をタケシタは横目で見た。
「はい。決まりました。ヒカルが一人部屋です・・・。」
ユミは元気に言った。タケシタがソレをみて笑った。
「はい。他のお客さんも穴たちと同じ企画で来てる方だけです。食事のときに顔合わせをするといってました。さて、部屋に行きましょうか・・・。」
四人はそれぞれの部屋に荷物を運び込んだ。そして、その足で温泉に向かった。
「えー。これがですね。温泉です。私的にはこの施設で一番気に入っています。ここは場所が場所ですので寒いですからね。そして、ソコの勝手口から階段を上がると離れの天文観測所があります。アノ観測所は、日本天文学のプリンセスと呼ばれた吉川ハルナ博士の研究室でもあったんです。」
そういってタケシタは口をつぐんだ。