部屋の真ん中にバラバラになった津田の肉片が並べられていた。外が寒いせいか死体の腐食が進んでいなかった。血の気のないそれぞれのパーツ。紫色の斑模様が浮出ているのもあってなんとも気味が悪かった。
「タケシタ。これは･･･。」
ヒカルがその紫色の斑模様を指差した。
「死斑ですね･･･。」
タケシタがうなずいた。
「死斑？。」
「ヒカル。死斑というのは死体の皮膚に現れる紫色の斑点のことでして、血管内血液が自重によって下方に沈下する現象のことです。」
「難しい言葉をわざと使うなよ･･･。」
「ですから･･･。」
「うるさいなぁ。死斑ぐらいわかりますから･･･。」
ヒカルがタケシタを怒鳴りつけた。
「まったく。ヒカルは昔から自分勝手すぎます･･･。」
タケシタが耳をふさぐそぶりをした。
「で。死斑が出るってことは死後数時間してから切り刻まれたってことね。」
ヒカルが厳しい表情で言った。
「そうですね。それに、ここまで顕著に現れるということはおそらく死因は窒素死か毒物によるものでしょう。それに、死後数十時間ほどではないでしょうか。まぁ、これはあくまでも予想ですが･･･。」
タケシタの言葉にヒカルが頷いた。