「タケシタ君。それに君たちも･･･。」
観測所の入口辺りにいたオーナーがヒカルたちを見つけて声をあげた。
「君たち。おとなしくしていないと。殺人犯がうろついているかもしれないのに･･･。」
オーナーがいつになく厳しい口調でタケシタにいった。
「あら。ヒカルさん。ユミさん。リサさん。」
オーナーの後ろからマイがひょっこりと顔を出した。
「何かわかったことはありますか？」
ヒカルが地面をにらみつけている立嶋に尋ねた。
「あ。これが残っていた足跡なんだ。」
立嶋は新たに降ってきた雪で埋まらないようにひとつの足跡の上に箱をかぶせていた。
「よく、それが残された足跡だとわかりましたね。」
「タケシタさん。ここに来るとき、僕はここを歩いていた彼女達を見つけて途中で合流しました。そのときにチェックしていたんですよ。」
立嶋がヒカルたちの方を見渡した。
「で。これは、本当に津田さんの足跡だったのでしょうか？」
リサが恐る恐るたずねた。
「それをこれからチェックしに行きます。これから死体をガン見するわけです。だから君たちを連れてきたくなかったのに･･･。」
立嶋が小さなため息をついた。
「ではこうしましょう。」
タケシタが大きく手を打った。
「ユミさん。リサさん。マイさんは違う部屋で待機していてください。あの死体を見るのはさすがに酷でしょう。私たち四人で攻めます。何かわかったらすぐにお知らせするので･･･。」
タケシタが三人の肩をポンポンとたたいた。
「皆様。十分気をつけて･･･。」
オーナーが心配そうに言った。立嶋だけが不機嫌そうな顔をしていた。
「ユミ。二人を頼むね。」
ヒカルがユミに小さくささやいた。
「さて始めますか･･･。」
三人を隣の小部屋に押し込めたヒカルが言った。
「本当に･･･。こんな危険なところにレディーを三人も連れてきて･･･。」
立嶋が不機嫌そうに言った。
オーナーがあの惨劇の部屋の扉を開いた。そして、その現実に絶句する。
「立嶋さん。あなたなら、マイさんをあそこに一人にしておけましたか？」
タケシタがつぶやいた。