何かとばたばた一日目も夜を迎えた。ヒカルたちが食堂に降りていくと、ソコにはすでに食事の準備がなされていた。
「一番乗り。」
食堂に誰もいないのを確認してヒカルが敷居を飛び越えた。
「こんな山奥なのに豪華だね･･。」
リサが机の上の食事を見てつぶやいた。
「すっごくおいしそうじゃん。」
「ほらヒカル。座る･･･。」
はしゃぎまくるヒカルをユミが座らせた。
「気に入ってもらえてうれしいね」
オーナーの吉川が厨房から出てきた。くまのような風貌から出る笑顔が優しそうだ。吉川はテーブルに置かれた鍋物の火をつけた。
「さて、準備完了かな。ヒカル君―。」
「はいはい？どーしました。」
ヒカルが厨房から出てきた。その風貌に不釣合いなほどの可愛いエプロンをつけていたのでヒカルは思わず笑ってしまった。
「あの学生諸君を呼んできてくれ。」
「了解です。」
タケシタはエプロンを手早くはずすとドアの外に走っていった。
「お。うまそー。」
入れ違いに立嶋が食堂に入ってきた。後ろに女の子もいる。
「立嶋さん。彼女ですか？」
ユミが笑った。
「へ。ああ、彼女はただ学校が同じって言うだけ･･･。」
「こんばんは。小塚マイといいます。」
マイは丁寧にお辞儀した。
「ユミです。はじめまして。」
「リサといいます。よろしくね。」
ユミとリサがぱっと立ち上がった。
「え。ヒカルです。よろしく。」
ヒカルも遅れて頭を下げた。
「え。ヒカルさんってあたしてっきり男の人だと思ってました。」
マイがまじめな顔をしていうのでユミはふきだしてしまった。
「リサさん。ヒカルという名前の人はこの屋根の下に二人いるんです。一人はコイツ。もう一人はここでバイトをしているタケシタさんというひとなんですよ。」
ドアが閉まる音がしてガヤガヤと話し声が近づいてきた。
「オーナー。呼んできましたよ」
タケシタがいった。