【短】『鏡』


爆音が聞こえた。

窓の外に目を向けると、街の方から煙が上がっていた。

その煙に呼ばれるかのように、雨雲が向こうの空から集まっている。

僕たちは、急いで街の方へ向かった。


・・・生き残った人間たちが泣いているのが目に入った。

彼らの足元には、重なり合って倒れる、人間と『アンドロイド』の姿があった。

コントロール・センターがあった場所には・・・

一体の『アンドロイド』が倒れていた。

「・・・アスカ・・・君は・・・壊れていないよね?」

「ハイ」

アスカの存在を確かめるように、

自分が独りでないことを確かめるように、

強く、アスカを抱き締めた。

「アスカ・・・翼が・・・」

僕は翼を傷つけた。

僕はひどいことをした。

ひどいことを言ったんだ。


泣いた。

アスカを抱いて、泣き続けた。

こんなに涙が溢れるのは、父さんが死んだとき以来だった。

「カズヤ様」

アスカの画面に、再び文字が現れた。