【短】『鏡』

翼の言葉を繰り返す。

それは、いつも僕の心の中にあった言葉。

晴れることのない霧のように。

「どうして『アンドロイド』を創ったのか・・・」

『夢』だったから。

父さんと母さんとの、残された唯一の共通点。

三人で過ごした時間がほとんどない僕たちの、たった一つの共通点。

三人の『夢』だったから。

「その『夢』を叶えて手に入れたものは?」

地位、名声、金、権力・・・手に入れたものは、たくさんある。


だけど。


「アスカ・・・僕は、どうすればいい?」

だけどそれは、僕が欲しかったものではなかった。

「僕らの『夢』は叶った。『アンドロイド』は、今も確実に進化している」

地位や名声や・・・そんなもののために、ここまでやってきたわけじゃない。

「それは、喜ぶべきことなのかもしれない。けど、僕は知ってしまったんだ。その先に待つものを・・・」