【短】『鏡』


口調が強まっても、表情は変化しない。

機械だから。

「父さんと母さんが開発した『核』は、『アンドロイド』にとってメイン・コンピュータの中心であり、心臓でもある。二人が自ら創った『核』を持つ『アンドロイド』。君は優秀だよ、翼」


なぜ?

どうして僕は、こんなことを言っているんだ?


翼が僕の肩を掴んだ。

「博士!」

   ドンッ

「お前は、自分の立場を理解しているのか? 二度とそんな口をきくな! わかったか!」

翼から手を離し、僕は元通り、イスに座った。

「部屋から出ろ。アスカを呼んで来い」

翼のことは決して見ずに、あからさまに不機嫌そうな声で言った。

「・・・はい。お待ち下さい」

   キィッ

   パタン


・・・僕は今・・・一体何をした?

翼に何をした?