今日も夜がやって来た。

人間たちは寝静まり、

月と星が世界を照らす。

お日様の光では見えないものが、

夜の世界では見えるんだよ。



さぁ、楽しい時間の始まりだ。



子犬のクゥは、主人が寝静まるのを待って仕事部屋に忍び込んだ。

今日はまだ始まっていないようだ。

窓の側に行って、空を見上げた。

「なんだよ、あのくも。
 はやく、どけてよ。
 みんなが
 あそんでくれないじゃないか。」

空にはところどころ雲がかかっていて、ちょうど月を隠してしまっている。

ため息をついて、もどかしそうに部屋の中を見回した。

クゥの主人は人形職人で、この部屋には主人が作ったたくさんの人形がいる。

人間も動物もいるし、大きいのも小さいのもいる。

みんなクゥと仲良くしてくれる。