それを見た瞬間、足がガクガクと震えだした。

起きているはずなのに、意識があるはずなのに、何故かその後のことはほとんど覚えていなかった。



ただ目の前が真っ暗になった私は、

誰かが来た足音と、先輩たちと話す声。
先輩たちの遠ざかる背中と、地面に落ちたネックレスをぼんやりと見ていた。


もう何もしたくなかった。

ここから立ち去ることも、ネックレスを拾うことも、泣くことさえも。


そんな私に小さくかけられた声に、気持ちがどうしようもなく震えたのはきっと、
あなたの声だったから。

あなたが私の名前を呼んでくれたから。


目の前に光が見えたの。



「――――歌」


りぃ君、助けて……。