え?こっち見てる……。


りぃ君とは、授業やこうしたホームルームのときは絶対に目を合わせないようにしていた。

それは私だけじゃなく、りぃ君も気をつけていることで、

お互い、学校内では不自然にならない程度に、それでも他の生徒よりは距離をとって生活していた。

だから、こうして目が合うなんて有り得なくて……。



「俺はここを辞めたら、教師はやらねえ。元いた仕事に戻るんだよ。だからお前たちが最後の教え子だな」


ええ〜!とみんなが嬉しそうな不満そうな声を上げる。


「サエちゃーん」


突然、胡桃が手を上げてりぃ君を呼んだ。

胡桃とは3年間同じクラスになれて、私の学校生活はとても楽しかった。

りぃ君とのことを一緒に隠してくれて、それでもたまに学校内でりぃ君と喋れるように計らってくれたり。

いろいろと私のためにやってくれた。