「好き」



恭弥のことが好き。


「……まじで?」

「……う、うん」

恭弥が恐る恐る私の様子をうかがうように姿勢を起こす。


「歌……抱きしめてもいいか?」

いつもの堂々とした態度とは違い、私の反応を見ながらそんなことを聞く恭弥に少し笑って、小さく頷いた。


私が怖がらないように、ゆっくりと腕が伸びてくる。

何十秒かかったのかと思うくらいその腕の中に収まるまでとても長く感じた。


「歌、俺……お前のこと好きなんだ」

「……うん」

「妹としてじゃない」

「……」

「ちゃんと、女として好きなんだよ」


温かい。心の中にじんわりと沁み渡るように広がっていく。