「も~!顔色悪すぎるんだけど!」


屋上のドアを開けると同時に振り返って文句を言う胡桃に、

「え? 私?」

首を捻るとさらに文句が返ってくる。


「そうだよ!仮病の私より歌のほうがよっぽど病人!なにこの世の終わり、みたいな顔色してんの~っ」

「えー、それどんな顔色?この世の終わり色?」

「そこはスルーして~」


ばつが悪くなったくるが、「とにかく!」と大声で仕切り直すとフェンス際で私の手を取ったまま腰を下ろすから、釣られて私も座る。




「話なさい!包み隠さず全部話なさい!」


珍しく真剣な表情の胡桃に、ゆっくりと頷くと曖昧に微笑む。


「あんまり楽しい話じゃないよ?」


ほんとにいいのかと、確かめる私の頬に胡桃の両手が伸びてくる。


にょーーん。

私の頬を力一杯引っ張る胡桃は悪びれた様子もなく、

「変顔やってもかわいいとかムカつく!」


ちょっと!と私の文句が口から出るより先に別の声が被った。




「まったくそのとおりよねー」



第三者の登場に驚き、ふたりで声の主へと視線を向ける。