「俺が何のためにこうして」


変なところで言葉を切るので「え?」と聞き返してもりぃ君はその続きを言ってはくれなかった。





りぃ君は朝っぱらから私の家に来てしまったけど、もちろん今日も学校はあるわけで。

一緒にいるのを見られるわけにはいかないから、りぃ君を家から追い出して別々に登校する。


昨日のお昼休みの騒動の中私は早退したので、その後学校がどんな騒ぎになっているか私は知らない。
今朝会ったときもりぃ君が自分からその話をするわけないし、私も聞けなかった。

緊張を落ち着けようと、深呼吸をしてから校門を抜ける。


校舎に入ると周りの生徒がやけにザワザワと落ち着きなく話している気がする。

知らなかった情報はすぐに耳に入ってきた。


「昨日のサエちゃんマジかっこよかったぁ〜」

「色気ありすぎでしょ!」

「だよね〜、それに背中のアレ!」

「アレって絶対、あの時の……きゃー!羨ましすぎる〜!」

「でもさー、サエちゃんそのせいで昨日……」



廊下で楽しそうに話す派手めな女の子たちの言葉に、昨日あの後なにがあったのか全てを知った。