りぃ君に勉強を教えてもらい、上手に出来たら頭を撫でてもらう。

そんな懐かしくて大切な過去を、私は捨ててきてしまった。

なのに、関係や状況が変わってもまさか再びりぃ君に勉強を教えてもらえて、こうして頭を撫でてもらえる日が来ようとは。

夢にも思わなかった。


「数学の勉強、頑張るね」

「お前なら大丈夫だよ、そっちは心配してねぇ」

「そっち?」

「俺が心配してるのはこっち」


そう言ってようやく腕の力を抜いて私を解放したりぃ君が、私の鼻を摘んで軽く睨んでくる。


「何かあったら俺に言え。俺を頼ればいいだろうが」

「でもっ」

「うるせえな、でもとかいちいち言うな」

「だってぇ」

それでも素直に頷けない私にりぃ君が大きくため息を吐く。

えぇ、すごく面倒くさそう。