窓にへばりついて見ている胡桃の背中に、もう一度声をかける。


「胡桃〜、担任なんて言ってたの?」

「それがさぁ、次の期末で赤点取ったら夏休みに補講とか言われてもうさいあ……」

「……ん?胡桃?」


急に言葉を切ったので、胡桃の視線の先を追ってみる。


その瞬間、さっきとは比べものにならないくらいの大絶叫が校庭を包み込んだ。


わっ!?なに、なにっ!


「きゃーっ!!サエちゃんヤバイ!!」

「ちょーいい身体なんだけどっ!」

「やばっ、かっこよすぎー!!」

聞こえてくるのは、りぃ君についての女の子たちの声だった。


え……?

りぃ君がなに?


校庭に立つりぃ君の姿を見て、胡桃同様、私も言葉もなく固まってしまった。