なんだかいまだに信じられない。

私はただ、校舎裏に行って先輩たちのやり取りを引っ掻き回しただけな気がするし。


それなのに、雅先輩にりぃ君とのことがばれて。なぜか、雅先輩に応援されて。


そして―――、


『俺はこいつが大切なんだよ』


まさかりぃ君の口からこんな言葉を聞けるなんて、思いもしなかった。



りぃ君の腕に抱かれた日から、私たちの関係は変わった。

それは良い方へなのか、そうじゃないのか……。


『好き』その言葉をお互いに口にすることは無い。
だけど、私は毎日あの部屋に行っている。


そういえば、初めてりぃ君の部屋に行った日以来、女の人の姿を見ていない。

今は会っていないのか、私が知らないだけでどこか別の場所で会っているのか。


考えるだけで心が歪な音をたてるから、最近は考えないようにしている。



……そろそろ胡桃に聞いてもらおうかなぁ。

きっと驚くよね。

胡桃の反応を想像していると、沈んだ気持ちが軽くなっていった。