狼彼女のお気に入り




「なら話は早いな。学校を辞めて家に戻ってこい。」


「……嫌です。」



それだけは………



絶対に嫌。







「なぜ?憐がそんなにあの学校へ思い入れがあるとは思えないけど。」


「それ、は………



大切な…友達ができたんです。」


「友達、ね…」



お兄ちゃんは少しだけ眉を歪めて



それからまたいつもの綺麗な笑みを浮かべた。



「……まぁ、今日はここまでにしておくよ。」


「今日…は?」


「憐が家に帰ると頷くまで帰ってくるな、と父さんから言われてね。」



………最悪



そんなあたしの気持ちを知ってか知らずか、お兄ちゃんはさっさと自分の荷物を広げて行く。



「…ここに泊まるとか言わないですよね?」


「憐はお兄ちゃんを追い出すのか?」


「はい。」


「………嘘だよ。ちゃんとホテルに部屋をとってあるから。

そんなに露骨に睨まないで。」



お兄ちゃんは楽しそうに微笑んで、手をひらひらと振りながら部屋を出て行った。