狼彼女のお気に入り




優しく触れるだけのキス。



それなのに、身体中が熱くなる。



俺が………おかしい。



ほんの一瞬、……心地よいと感じている俺がいた。



篠田の唇の感じも



重なった吐息も



少し赤く染まった篠田の頬も



俺が欲しい──

そう言った篠田の声さえも




不思議なくらい、心地よかった。








「お…お前な…っ!」


「そんな真っ赤な顔で怒られても、迫力ないんだけど?」


「っ…」



図星をつかれて言葉につまる。



俺は今、酷い顔をしているんだろう。



どうしたらいいんだ?



こんな状況は……

というか、キスしたこと自体、経験がない。



そもそも、女なんか大嫌いな俺が、特定の女と親しくするなんて考えたこともなかった。



しかも相手は篠田だぞ?



………何やってんだ、俺…