「ねぇ・・・美咲ちゃん・・・お願いがあるんだけど。」

「なんでしょう。」

「あの子が 元気な時は ファミレス行ったことなかったのよ。
 あの子が来るなって・・・許可してくれなかったの・・・
 今更なんだけど 顔出したいの・・・急に休んだ挙句
 お店の方にも迷惑かけちゃったから・・・・」

「わかりました。それじゃ 明日にでも行きましょうか。」

「ありがとう。」

「でも、おじさんと2人で行けばいいのに・・・・」

「勿論。あの人も誘うわよ。私が美咲ちゃんと2人きりで行ったら
 怒られちゃうし・・・3人で行きたいのよ・・・・」

そう言いながら 幸子も 青空に浮かぶ雲に向かって流れていく 煙を見上げた。

「なんだか 悲しいくらい 蒼く澄み切った空だね・・・・」

子に先立たれた 親の悲しみ・・・・

悲しくないはずがない・・・・

本当は 心行くまで 泣きたいんだろうな・・・・・

そんな風に思いながら 美咲は 幸子の横顔を見つめていた。