闇雲に 砂浜を探し回って疲れて へたり込んだ美咲の傍でまた 誠の明るい声がした

「もう 疲れたの? 美咲 運動不足だよ。」

「も~出て来てよ!!かくれんぼは終わりにしようよ!!」

「かくれんぼは 苦手か?」

美咲の前に誠の手が差し出された。

「そうね・・・苦手だわ・・・」

そう言いながら 誠の手を取って顔を上げた美咲がまぶしそうに目を細めた。

「マコ?まぶしいんだけど・・・・」

「そうか?はげたわけでもないのにおかしいな・・・・」

「そんな 冗談いってないで・・・・眩しいのよ 眩しすぎ。」

「あはは・・・・それは わりぃ」

そういった 誠の輪郭が段々光に慣れてきた時の目のように美咲の瞳に姿を現した。

「マコったら・・・・」

穏やかな 微笑を浮かべた誠が 浪打際に立っていた。

「なんか久しぶりだな・・・・・」

「本当ね・・・・ここ マコ眠ってばかりだったもんね・・・・」

「俺、起きてるんだよ・・・・」

「えっ?」

「意識もちゃんとあって 今日が何月何日で 俺の誕生日まで
 あと 何日だって・・・・わかってるのに・・・お前が俺に
話しかけてくれてる事 全部 わかっているのに 声が出せないし
目が開けられないし・・・・体は動かないしで・・・・」

「そうなの?」

「ああ・・・おまえ 俺がお前と会ったから こんな厄介な病気を
背負い込んだんじゃないかと思っていただろ・・・・」

「う・・・・うん・・・・」

「俺のアナザ~な人生を考えていたろ・・・・俺は お前と出会えて
 幸せな人生を送れたんだって・・・・言いたかったよ。」

「本当に?」

「ああ・・・だから 俺は なんとしても25歳の誕生日までは生きる・・
 生きるから・・・・・両親にも お前にも 伝えたい事があるから・・・」