もって余命3ヶ月・・・・

カレンダーが4ヶ月目に入ったことは 殆ど 奇跡に等しかった・・・・

ドクターは 9月の声を聞いた朝、幸子と友紀人を呼んだ。

「もって、ここ2~3日でしょう・・・・覚悟しておいてください。」

「先生・・・10日はあの子の誕生日なんです・・・・10日間だけ・・・
 なんとか・・・なんとか 延命措置してはいただけませんでしょうか・・・」

「心肺機能が ここ著しく低下してきています。投薬の副作用で 殆ど
 本人は廃人に近い状態で生かされているようなもんですよ・・・・
 意識レベルも果たして どこまで正常なのか・・・・そんな 状態で
 彼が誕生日を迎えても・・・・」

「どんな状態であったとしても、そこに 彼の意志があるのがわかっているので
 何とかしてほしいんです・・・・」

「彼の意志・・・・ですか?」

「あいつの最期の望みなんです・・・・」友紀人も重たい口を開いた。

「わかりました 最善は尽くしましょう・・・・・が・・・
 あまり 期待なさらないでください。」

ドクターがそう言って 目を伏せた。



誠の手を握って うたた寝していた美咲は 夢を見ていた。


目の前に広がっているのは 海・・・・


波に足を洗わせながら 美咲が海をみている・・・・


背後で 誠が美咲を呼ぶ声がした。

「美咲~~」

「なに?」

振り向く・・・・・

誰もいない・・・・

「マコ? マコなの? どこ どこよ・・・・・」

あたり一面広がるのは 白い砂浜と水平線だけ・・・・・

身を隠す場所なんてないのに・・・・・

いったい何処に隠れているの?