美咲の怪我は たいした事も無く その日の内に自宅へ戻った。

【帰りたくなんかないのに・・・・】

どうせ 自宅に戻っても 気難しい顔をした両親から説教されるだけだ・・・

案の定だ・・・父親の新造までもが 美咲の編入に対して 小言を並びたてる・・・

私の気持ちは無視?

子供は 親の所有物なんかじゃないんだよ・・・・

ちゃんと人格もあるし 未熟でも思考だって夢だってある・・・

自分達も私と同じ時代があったでしょ?

いきなり 飛んで大人になったわけじゃないじゃん・・・

なのになんで それを否定して危険だから 

そこは 間違っているからって先回りするの?

父親の並べる小言に口応えするでもなく聞き流しながら 

美咲の中でそんな「なぜ?どうして」が膨らんでいく

そして小言の 言葉尻には必ず 決め台詞「お前の為だと思うから・・・」

「お前が大事だから・・・・」

【嘘ばっかり・・・自分の見栄や体裁の為でしょ?そんな風に摩り替えないでくれる?】

 美咲の心でも そんな 決め台詞が うつろに繰り返される。

【もう 沢山だ・・・・】

「お父さんの言う事がわからないのか?」

【わかりません。わかりたくもありません。】

そんな気持ちを押し殺す

「はい。」

面倒臭いので わかったような返事だけをする。

「返事だけはいいんだな。態度を直そうとしないで おまえ 親をなめているのか」

【じゃぁ、返事もしなきゃいいんかよ・・・・】

美咲の心がそう ぼやく・・・・

「もういい。これ以上話しても無駄だ 下がりなさい」

「あなた・・・」

そんなことで許すのは甘いと言わんばかりに 慶子が眉をひそめる。

【やっと 解放された】

そんな思いで 美咲は自分の部屋に引っ込んだ・・・・