「それで、俺に言うんだよ・・・俺はファーストキスの相手だから 忘れないって・・・それって・・・・」

「馬鹿ね。」

「えっ?」

「何 そんなことで凹んでいるのよ マコらしくない。」

「だって・・・俺は・・・・」

「だって、俺も 美咲ちゃんの事 好きだったりするんでしょ?」

「・・・・・」

「ありのままでいいんじゃないの?お母さんなんて 美咲ちゃんが あなたと
 結婚してくれてもいいとさえ思っている。」

「何 血迷った事言ってるんだよ。俺は・・・・俺はもうじき・・・」

「もうじきなによ。美咲ちゃんは そんな やわな子じゃないわよ。」

「お袋にそんなこと わかるのかよ。」

「わかるわよ。 同じ 女という 生物ですから。」

「なんだそれ・・・・」

「知らないでしょ? 私と美咲ちゃん 仲いいのよ。」

「?」

キョトンとした表情を浮かべた 誠に 幸子がウインクをして微笑み返した。

「マコの方が やわだったかなぁ??」

そう言った 幸子の横顔を見詰めながら 美咲が 自分の亡き後 2人の支えになることを強く感じていた。

「お袋は それで 辛くないの?」

「ないわよ。 あなたに感謝してるくらいだわ。」

笑顔でそう言い切る 幸子に 母親の強い愛の深さを垣間見たような気がした。