病室に戻ると 幸子が 友紀人と来ていた。

「あ・・珍しいじゃん 2人お揃いだなんて。」

「そういう マコも 雨降りだと言うのに お出掛けなんて珍しいじゃん」

誠の口調を真似て 幸子が言った。

「うん、今日は気分が よかったんでね。美咲と散歩してきた。」

「で?美咲ちゃんは?」

「帰ったよ。」

「なんだ 病室まで 送って来ないなんて 結構スパルタだなぁ~」

友紀人が 誠の病状を案じて 冗談めいた言葉を口にした。

「俺が 返したんだ・・・・」

そう 呟いた 誠の言葉に母親として 何かを感じた幸子がいきなり 友紀人に言った

「あっ・・・そうだ・・・ここの売店に 夕方限定のコロッケがあるのよ。
 この前 食べたら凄くおいしくて・・・お父さん 至急買って来て!!」

「な・・・なんだよ・・・急にしかも売店のコロッケって・・・おまえ・・」

「いいから!!」

そういうと 渋る 友紀人を 病室から 幸子は追い出した。

友紀人が出て行くのをみ送ると 幸子は いきなり 誠の車椅子を押して

コミュニテイルームへと連れて行った。

「美咲ちゃんと何かあったの?」

「えっ?」

「うん・・・おれ、 あいつに 会わなければよかった・・・・」

「あら?どうしてそう思うわけ?」

「あいつ 俺に 将来 介護の仕事に就くって言うんだ。」

「いいじゃない いいことよ。」

「そうかな・・・俺、無責任にあいつの 未来に関わったようで・・・」

「どうして そんな風に感じるの?」

「あいつ・・・俺に キスしたんだ・・・頬だけど・・・・」

「まぁ。」