あした

マコが 介護の講習会に参加できたのは・・・・

あの日・・・・初日の1回だけだった・・・・

左足の切断を余儀なくされ、果敢にも それに挑んだマコだったけど、

こんな時だけは 悲しいくらい 本人の意志とは裏腹に 余命宣告って当たる物だ・・・

手術をして 体力の落ちたマコはベッドに横たわって起きられない日が続いた。

私は それでも 夢は諦めたくなくて 介護事務の講習会に参加しては

病床のマコにその講義内容を 教える続けた

自分が受けた講義内容を彼に伝えないといけないという使命感から

それこそ 今までにないくらい 一生懸命 講義に聞き入り 自宅では復習までした

「・・・・で、こうなるの。わかった?」

「美咲?」

いつの間にか 2人は お互いを呼び捨てにしあう仲になっていた

「うん?なに」

「おまえ 教え方 うまいよ。」

「あたりまえでしょ。 出来の悪い生徒の為に 毎回 必死になって
勉強してくるんだもん。」

「えっ?できの悪い 生徒って ひょっとして 俺のこと?」

「やだ・・・・自覚なかったんですか?」

「いや。こんなに 飲み込みの早い生徒で 美咲もさぞ 楽だろうと・・・・」

「もう~ これだわ。 それじゃ 抜き打ちテストでもしましょうか?」

「抜き打ちテストは 苦手だ・・・」

「じゃぁ、何が 得意なんですか?」

「エスケープ。 美咲先生・・・今から お散歩にでも行きませんか?」

「え?・・・・でも 体調は?大丈夫なの?それに 雨も降ってるわよ」

「今日は 気分がいいんだ。こんな日に 抜き打ちテストは・・・・」

「わかった。それじゃ 売店で傘 買ってからね。」