美咲が 誠と別れて 自宅に戻ると 慶子と新造が戻ってきていた。

「おかえりなさい!」

明るく返事をした美咲に新造が 少し気まずそうな 表情で返事をした。

「ただいま。1人で暮らしてみてどうだった・・・・」

「えっ?」

「うん・・・とても 気楽で楽しかったよ。でも・・・・」

「でも なんだ・・・」

「お父さんとお母さんがいなくて 寂しかった。」

「美咲ったら・・・」

少しうれしそうに 慶子が呟いた。

「学校は どうするんだ・・・」

「それなんだけど・・・・お父さん・・・留年しても 必ず卒業するから・・・
もう少し 時間をくれないかな・・・・」

「美咲・・・・」

「あっ・・・いい加減な気持ちで言ってるわけじゃないの・・・・
ちょっと、私なりに考え始めた事があって・・・・」

「どんなこと?」

「うん・・・・今は まだ 旨く話せなくて・・・・・お父さん、お母さん、
今まで 私 本当に いい加減だった・・・・お父さんやお母さんの愛情が
ただ うざく感じるだけだった・・・・」

「今は 違うのか?」

「ある人が それを教えてくれたの・・・・」

「もしかしたら そいつは 俺が この前殴った男か・・・・」

「うん・・・・」

「お父さん 彼には 時間が無いかもしれないの・・・・」

「えっ?」

「彼は 私に お父さんとお母さんの存在の大きさを気付かせてくれた人なんです
 今の私に必要なのは 学校じゃなくて、彼と過ごす時間なの・・・・」