新造は 寝室に入ると煙草をくわえて 椅子に腰を掛けた・・・

ベッドの中では慶子が自分に背中を向けて眠っている。

煙草に火をつけるとそれをふかしながら 天井を仰いだ・・・

跳ね飛ばされて 投げつけられた『信じてないんですか!!』という彼の言葉が新造の
胸に突き刺さっていた・・・美咲の今の言葉も・・・

私は、娘を信じていないのだろうか・・・

親の愛情表現って、優しい物だけはない・・・・

赤の他人で無関心ならば 言いにくいことなんていわなくてもいい

自分の子供が不幸になることを願う親はいない・・・

幸せになってほしいからこそ 子供に試練も与える・・・・

でも、親も未熟な人間だ・・・

子供は自分達より豊かで幸せな人生を送って欲しいと願うばかりに

その子に必要以上の試練を知らずにあたえてしまっていることもある。

私は 美咲に必要以上の 課題を与えすぎているのだろうか・・・・

自分の与えた 課題や試練に子供が応えようとしない できない・・・

そんな姿を見て失望して・・・・裏切れらたと感じているのだろうか・・・・

「なぁ・・・慶子?」

「うん?」

寝ているはずの慶子が返事をした。

「起きていたのか・・・・」

「美咲の事でしょ?」

「間違っているのだろうか・・・・育て方・・・」

「わからないわ」

慶子もそう 呟きながら ベッドから身を起こした。