「よしゃ!!今日こそは 一気にいくぞ!!」

 美咲は 気合を入れると 思い切り自転車のペダルを踏んだ。

 でも・・・・「駄目ダァ~~~」心臓破りの上り坂・・・いつも途中でリタイヤ・・・

 仕方なく 坂の途中から自転車をついて歩いていく。

 今日も 気合だけは充分だったのだが・・・・・

 「駄目だぁ~~ 止まるぅ~止まるぅ~」

 自転車から降りたとたん 後からなんだか 凄い衝撃・・・・

 思わず自転車から跳ね飛ばされるように転んだ。

 【い・・・いたぁい・・・何事?】

 打ち付けた膝をさすりながら 美咲が振り向くと 彼女の自転車に覆いかぶさるように
 ぶっ倒れている青年が1人・・・・

 【えっ・・・・もしかして、私がいきなり 自転車止めたから?】

 「あ・・・あのぉ・・・・大丈夫ですか?」

 美咲の声で顔を上げた青年の鼻からは血が出ている。

 「あ・・・鼻血・・・ごめんなさい。私が急に自転車止めちゃって・・・」

 そう言いながら あわててポケットテッシュを差し出した。