学校という空間は、やっぱり苦手だ。


何の役に立つんだかわかんない勉強とか、無駄に増えるだけの友達とか、生徒を型に嵌めたがるだけの校則とか。


世間体を気にするうちの親は、あたしに大学進学を望んでいるようだけど。


半年に一度しかこっちに帰って来ないくせに、偉そうなことを言われたくはない。


夢も、希望も、人生の目標すらもないというのに、先のことを想像しろだなんて、土台無理な話だ。



「また宮原は進路表が白紙だったな。」


担任は怪訝そうな顔をした。


進路指導室に呼ばれた時点で話の内容に見当はついていたけれど、でもその所為で余計に考えることが嫌になる。



「別に進路が未定だからって死ぬわけじゃないでしょ。」


「そういう問題じゃないだろ。」


「うるさいなぁ。
別に卒業した後にあたしがどうなろうと、先生には何の関係もなくない?」


向かい合う彼は、心底面倒くさそうにため息を吐き出した。



「大体、欠席・遅刻・早退の日数が目に余る。」


「じゃあ日誌を書き直せば良いじゃない。」


教師なんて、評価を気にして躍起になっているだけ。


どうせ卒業したらさよならだし、所詮は他人。


本当は熱意なんかこれっぽっちもないってことくらい知ってるんだよ、先生。



「留年しそうなら今すぐ学校辞めるから、それで良いでしょ?」


毎回そんな台詞で話を終わらせ、席を立つあたしは、とんだ問題児なのかもしれないけれど。