現金を数えながら、携帯代、定期代、とベッドの上に並べ分けていく。


何もかもが春樹の所為。


アイツの所為で、あたしの人生もまた、狂ってしまったのだから。


日本から逃げるようにニューヨークに行ってしまった両親が、本当は春樹を恐れているだけだってことくらい、気付いてるよ。


5年間、毎月子供の小遣いにしては多すぎる額だけを押しつけて、あとは知らぬ存ぜぬを貫き通されている。


なんて、考え出すと虚しくなる一方だ。




【会いたいんだけど、暇してる?】




受信ボックスの一番上に入っていた、顔も定かではない男からのメールに、あたしも会いたい、とだけ返信を入れた。


毎月同じ日に襲ってくる虚脱感は耐えがたく、とにかく何かで誤魔化したかった。




【すぐに行くから。】




誰でも良いし、みんな同じ。


泣き方を忘れてしまった自分の中に溜まった膿を、早く出してしまいたくて、気付けばいつも携帯を握り締めている。


お手軽に繋がるだけの関係で良い。


その場しのぎに相手をしてくれるだけで良いから。


だから頼むから、ここじゃないどこかに居場所をちょうだいよ。






そうじゃなきゃ、
春樹に殺されてしまう――