乃愛もまた、出会い系に依存しているひとりだった。


愛も恋も、過去のどこかに置き忘れてきてしまったあたし達は、こんなやり方でしか自分を確かめられないから。



「てゆーかさ、よくそんなに手広く頑張れるよね。」


「飽き性のリサさんと一緒にしないでくださーい。
大体アンタ、面倒くさーい、とか言ってるのが悪いんだよ。」


まぁ、そりゃそうだ。


携帯をいじりながら雑誌を見るという器用な乃愛とあたしじゃ、比べることも出来なかった。



「あたしはね、何人いても平等なの。」


彼女は言う。



「見た目とか、収入とかを抜きにして考えてみれば、どの男だって似たようなもんだから。」


「そこに一番も二番もない、って?」


「当然でしょ。
どうせみんな、あたしの上辺しか見てないんだし。」


それは、心の内を相手に見せようともしないヤツが言って良い台詞でもないだろうに。


でも、その随分と合理的な考え方には、感服してしまいそうだ。


いや、彼女は割り切ることで自らの虚しさを拭おうとしているだけかもしれないけれど。


だって誰かにのめり込んだ分だけ、傷は大きく返ってくるから。



「てか、梢は?」


「何かね、ナントカって男がどうのって言ってた。」


「いや、意味わかんないから。」


つまりは乃愛も、梢のやってることに興味はないらしい。


人の遊びには不干渉、友情なんて二の次、という暗黙の了解が、あたし達の間にはごく当然のこととして受け入れられていたから。


だからあたし達はきっと、自分勝手な集合体なのだろう。