道明さんのことは大好きだ。


けど、でも、堀内組の所為でこんなことになったのだと思うと、彼に対して今、どんな感情を抱けば良いかがわからない。


恨めば春樹が助かるわけではないというのに。



「俺がこんなこと言えた立場でもねぇけど、道明くんもそれなりに、今回のことには責任感じてるみたいだし。」


「………」


「だから組の人間として、リサちゃんに恨まれるんならそれは仕方がない、って。」


何も言わないままのあたしに、それでもタカは、



「けど俺、道明くんのこと庇うわけでもねぇけど、責めるなんてことも出来なくて。」


「わかってるよ。」


タカが言いたいことは、ちゃんとわかってる。


決して道明さんだけが悪いわけではない。


それにあの人はあの人なりに、あたしのことを想ってくれている。


ただ、それでも今は、顔を合わせていられる自信はないから。



「つか、春樹のとこ行ってやろうぜ。」


タカはわざとのようにそう言ってくれた。


手に持ったミルクセーキの缶はすっかり冷えてしまい、まるであたしそのもののよう。


窓の外は朝の色に染まりきり、下を行く人々の数は増えた。


けれどそれはどこか別世界のことのようで、一体何が現実なのかと思ってしまう。


木下くんは見ているのだろうか。


だとしたら、どうか春樹の命を奪ってしまわないで。


出来ることなら助けてあげてと、祈るように空を見上げた。