シャワーを浴びて戻った時、タカはチェストの前で何かを眺めていた。


が、すぐにあたしに気付き、それを仕舞う。



「…写真?」


「何でもねぇよ。」


と、彼は、隠すように舌打ちを混じらせる。


まぁ、知られたくないことなのだろうし、それ以上聞く気はないけれど。



「てか、お前の携帯に俺の番号入れといたから。」


「…えっ…」


驚いて自分のそれを手に取ってみると、本当に知らない番号からの不在着信が入れられていた。


タカはこの関係を、どんな風にしようとしているのか。


けれど、言葉にはせず、彼の番号を電話帳に登録し、携帯を閉じた。


不必要なメモリばかりが増えて、このガラクタも、あたし自身も、パンクする寸前なのかもしれない。



「何かさ、ちょっと疲れちゃった。」


タカの隣に腰を降ろし、ソファーに身を沈めた。


彼のスウェットを着て、その香りに包まれていると、もう何もかもの意識が遮断されていく。



「リサ。」


呼ばれる名前さえも心地が良いだなんてね。


そのままタカにもたれ掛かると、彼もまた何も言わず、あたしの頭を撫でてくれた。



「お前は俺の言うことだけ聞いてりゃ良いから。」


目を瞑ると、混濁した世界が遠のいて行った。


ただ、タカの言葉に安堵して、飼い殺しにしてくれることだけを願っていた。